[ビジネス縁起観からのメッセージ]        浪 宏友


◇他人に依存して生きている人

 人の姿を見ては愚痴を言う、非難する、不平不満を並べ立てる。ときには相手に文句をぶつける。
 このような人は、他人に依存して生きている人です。他人の表情や言葉や行動によって、自分の仕事や自分の人生が左右され振り回されている。だから愚痴、不平、文句などで紛らわしているのです。
 本人は、自分が自立しているから他人のことがとやかく言えるんだなどと思っているかもしれません。
ところがそうではないのです。

◇自分には何もできない

 愚痴をこぼす、不平不満を並べる、文句を言い立てる。そのような人は結局のところ「自分には何もできません、あんたが何とかしてください」と言っているのです。
 自分が遭遇している環境に対して、適切に対処することができないから、他人が何とかしてくれるのを待っています。ところが他人は自分の期待通りにはしてくれません。そればかりか自分の期待とは異なる方向にさえ動いてしまいます。こんなときに、愚痴・不平・文句などが口をついて出るのでしょう。
 このような人は、ビジネス縁起観に言わせれば「環境対応能力」が欠けているということになるでしょう。
 他人に依存している自分に気付かないまま、わがままな言葉を吐いたり、身勝手に振る舞ったりする人は、見ていると哀れを催します。

◇ないないづくし

 何もできないには理由があります。資金がない。権限がない。知識がない。能力がない。できない理由はいくらでも出てきます。
 愚痴・不平・文句をこぼし続けたり、できない理由を並べ立てたりすれば、問題が解決するのでしょうか。そうであれば全力を尽くしてそうすればいいでしょう。そうでないのなら、無駄なエネルギーを使っている間に、問題解決の方策を探すほうがいいのではないでしょうか。 こう言うと「問題解決の方策が分かるくらいなら、愚痴なんか言わねえよ」などと怒鳴られるかもしれません。しかしそれは「自分には問題解決能力がないんだ」と白状しているようなものです。

◇何を成すべきか

 どんな状況のときでも「成すべきこと」があります。成すべきことを見出す智慧、成すべきことを行なう行動力。この二つを備えていればエネルギーを生産的に使うことができます。
 このような人が自立している人であり、このような行動が自主的な行動であると言っていいと思います。
 世の中のリーダー足るべき経営者の皆さんには、是非とも、自立してくださり、自主的にものごとに対処していただきたいものと、心から願って止みません。
☆「詩人散歩」平成20年冬号に掲載