[ビジネス縁起観からのメッセージ]        浪 宏友


 FIDR(公益財団法人国際開発救援財団・ファイダー)から、『年次報告』と共に『20年の歩み』が届きました。何のお役にも立っていないのですが、いつしか親しい間柄になっていたので、贈っていただけたようです。
 沿革を見ますと、「平成二年(一九九〇年)四月二十六日外務大臣より財団設立許可を受ける」となっています。平成二十二年四月二十六日が設立から二十年目に当たるわけです。

 『20年の歩み』に、理事長飯島延浩氏(山崎製パン株式会社代表取締役社長)の挨拶が掲載されていますが、その中に次の一節がありました。
“自主事業にあたっては「チャイルド・ケアを基軸とした地域開発援助事業の実施」と、「日本企業と日本人による国際協力の推進」という二つのミッションステートメントに基づき、現地に入り込み、現地の事情に即したきめの細かい事業活動を実施し、かつ、安定した運営資金と日本人独特の心のこもった、開発途上国援助の実現を目指してまいりました。”

 私が従来から注目しているのは、ファイダーのスタッフが現地に赴き、その地の人びとの中に入り込み、汗まみれになって、人びとのために尽くしている姿でした。
 ベトナム、カンボジアを始めとして、フィリピン、ラオス、タイの、経済的に厳しい生活を強いられている人びとが、主たる対象者のようでした。
 ややもすれば、貧しさの中で、心身ともに沈滞してしまう現地の人びとにはたらきかけ、自分たちの生きる地域は、自分たちの手で発展させようという心と、そのための能力(知識、技術、経験)を身につけることができるように、ファイダーのスタッフたちは、心を砕いているようでした。それは、見ず知らずだった人びとのために、身を捧げている尊い姿として、私の心に映りました。

 私がお付き合いしている方々は、東京の事務所を拠点として、現地スタッフの後方支援を行いながら、日本全国に活動の輪を広げようと汗を流している事務局の皆さんたちです。
 見た目は普通の方々ですが、どことなく熱いものと芯の強さを感じさせてくれます。それに打たれて、私も、お付き合いを続けてきたような気がします。

 応援しようかなと思われた方は、事務局に電話してみてください。TEL03−5282−5211です。ホームページ(http://www.fidr.or.jp/)を見ると、活躍の様子がよく分かります。 (浪)
☆「詩人散歩」平成22年冬号に掲載