◇実務的側面
　ビジネス縁起観では、実務的な側面から人間共通の性質を見つめ続けてきました。その中で、私たちにはこんな性質もあったんだなぁと、驚くこともしばしばでした。

◇したことはしやすくなる
　研修会などで、人間には「したことはしやすくなる」という共通の性質がありますとお話ししますと、多くの皆さまがうなずいてくださいます。　無意識のうちに行ってしまうほどしやすくなった行為を習慣というのだと私は考えています。
　練習とか訓練とかは、「したことはしやすくなる」という性質を活用して能力の向上をはかっているのだと思います。
　「正しいことを、心を込めて、繰り返す」といいますが、これもこの性質から生まれた格言だと思います。
　ここでは一例だけをお示ししましたが、人間にはこのほかにも、実に多くの共通性があることが分かっています。

◇共通性と個性
　こうした共通の性質を見つめているうちに、どうもここから、千差万別の個性が生み出されているのではないかと思えてきました。
　「したことはしやすくなる」という性質で考えれば、私は自分の置かれた環境・条件の中でしやすくなったものがあり、それが私の個性の形成に少なからず影響を及ぼしていると思われます。
　置かれる環境・条件は人それぞれですから、人それぞれにしやすくなるものが異なり、形成される個性にも違いが生じると考えられます。
　他の共通する性質も、個性の形成に寄与するとすれば、人々の個性が千差万別になるのも当然だと思えてきます。
　「人間の持つ共通の性質が各人の個性を生み出す」という仮説ができてしまいましたので、実務的側面から研究してみようと思います。（浪）