[ビジネス縁起観からのメッセージ]        浪 宏友


◇思い込み
 何かを思い込むと、その思い込みから離れられないばかりか、その思い込みに支配されてしまうところが私たちにはあるようです。
 このため、事実を誤認して判断を誤り、不適切に行動し、望まない結果を出していることがよくあります。

◇愚か
 本人は自分が自分の思い込みに支配されていることに気づきませんから、望まない結果が出た原因はすべて他人にあると思い込み、原因を作った張本人はこいつだと思い込み、その相手に対して怒りをぶつけます。
 傍からみていると思い込みの積み重ねで、愚かとしか言いようがないのですが、本人は正しいことをやっていると、ここでも思い込んでいます。

◇恥ずかしい
 他人のことはともかく、自分がこんな愚かな姿をしているとしたら、恥ずかしくて穴があったら入りたい気持ちになります。
 思い込みはやめようと自分に言い聞かせ、気をつけているつもりでも、いつのまにか思い込んでいる。この思い込みの癖は、なんとかならないものでしょうか。

◇本能
 動物は本能で生きていると言われます。本能の中には長い間の経験から生まれた、さまざまな思い込みが組み込まれているに違いないと私は思っています。思い込みに組み込まれていない事象に遭遇したときには、対応できずに亡びてしまうこともあるのだと思います。

◇成り下がる
 人間たるもの、思い込みに支配され、ものごとに正しく対応できず、怒りまくっているようでは本能で生きる動物に成り下がったと見られても致し方ないのではないでしょうか。

◇観察・検証
 思い込みを避けるためには、観察と検証が有効だと私は考えています。
 見慣れたものごとでも、先入観・固定観念を捨てて、ありのままをありのままに観察し、ありのままに認識するように努力するのです。
 そこから得られた情報を、原因・条件・結果・影響の原理に当てはめて検証するのです。
 こうすることによって、何が起きているのかを正しく知ることができます。

◇観察・検証
 ものごとは変化しています。昨日のこの人と今日のこの人は違います。自分もまた昨日と今日とでは違っています。
 毎日、毎日新しいのですから、毎日、毎日、改めて観察し検証して、正しく認識し、正しく行動することが求められるのです。   (浪)
☆「詩人散歩」平成27年春号に掲載