[ビジネス縁起観からのメッセージ]      浪 宏友


 心理学・行動科学・社会科学そのほか、人間に関する学問がいくつもあります。
 こうした学問は人間について研究し、人間に関する法則を見出そうとしています。

 心理学では、人間の心に関する法則を求めて研究を進めています。
 行動科学では、人間の行動について研究し、人間の行動における法則を見出そうとしています。 社会科学では、人間と人間の関係によって形成される社会について研究し、人間関係における法則、社会現象上の法則を見出そうとしています。
 人間の心の動きに関する法則、人間の行動に関する法則、人間と人間の関係における法則があるのであれば、こうした法則を見出して、人間の幸福追求のために活用することができるはずです。部分的には、そのような試みが既になされていてそれなりの成果を上げているようです。

 販売の分野では、顧客の購買行動に関する研究が行われていますが、これは、購買という局面における顧客の心と行動の法則を見出し、活用しようという試みだと思われます。
 このとき、販売員と顧客の間の人間関係に関する法則も重要な意味を持ちます。

 経営の分野では、従業員のモチベーションの維持・向上に関する研究が行なわれています。これは従業員の心と行動における法則を見出し、活用しようということだと思われます。
 こうした研究の中で、経営者と従業員の間にはたらく人間関係に関する法則を、ないがしろにはできないことが分かっています。

 営業の分野では、営業担当者と顧客の間の人間関係が、大きな意味を持ってきます。ここでは営業マンが人間関係の法則を駆使して、顧客の獲得に取り組むことが求められるでしょう。
 もっとも、顧客のほうが人間関係の法則を活用して、よい買い物をすることも考えられます。

 こうした、人間の法則、人間関係の法則を活用しようとするならば、法則を正しく学ぶことから入らなければなりません。法則を理解することが活用の第一歩だからです。
 そして、現実に、法則に沿った行動をすることです。行動してはじめて果実を得ることができるからです。

 法則から外れたことを行なって、果実を得られないと騒ぎ立てる人も少なくありません。こういう人が、自ら法則を学ぼうという気持ちを起こすことはまず考えられません。おそらく、無駄なエネルギーを費やしては、感情を高ぶらせて終わることになるのでしょう。(浪)

 ☆「詩人散歩」令和元年冬号に掲載