詩誌「詩人散歩」(平成15年秋号)
◆これまでの【鋸Q宏友事務所日誌】を掲載しています。

 有限会社浪 宏友事務所日誌


○月○日

 経営者と従業員の関係はなかなか微妙である。
 それぞれ別個の人格が社会的な契約によって雇用関係を結ぶ。雇用された従業員は、雇用した経営者の指示・命令のもとで企業活動に参加し報酬を受ける。
 人格的には平等である人同士が、雇用契約によって組織上の上下関係に入る。上下関係といっても、本質的には役割の関係である。自分の役割を果たすと同時に、互いに相手の役割を大切にすることによって組織が活性化する。
 理論的にはその通りなのだが、ここに生身の人間としての身体的、精神的、生活的、その他の条件が複雑に絡み合い、一筋縄ではいかないものがある。
 生活環境の違い、人生目的の違い、価値観の違い、その他多くの違いを克服しなければ、雇用関係を継続することは難しい。
 経営コンサルタントとしての私は、この複雑な問題を、経営者と一緒に悩まなければならない。悩むだけではなく、経営者が適切な判断と行動が出来るような指針を見出し提供しなければならない。 勉強、勉強また勉強。休んでいる暇など、ありそうもない。

□月□日

 社会で活動していながら、世間のルール、マナー、エチケットなどを守らない人びとがいる。知らないのか、知っていても守らないのか、いずれにしても周囲に迷惑を及ぼす。社会の秩序を乱したり、ものごとの前進を妨げたりすることもある。少なくとも、周囲を不快にする。
 このように社会的に未成熟な人びとが多いのは、教えられていないからではないか。家庭でも、学校でも、クラブ活動でも、職場でさえも教えていないのではないか。教えていないのではなくて、教える側が、これらの社会規範を知らないのではないか。
 社会生活の土台ともいえる基礎的な社会規範すら知らないのであれば、社会をよりよく建設することなど考えが及ばないのではないか。しかし、このまま放り出しておくわけにはいかない。私の小さな力の限りだけしか出来ないけれども、努力を重ねなければ何も前進しないのだから。
                                          (浪 宏友)

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