詩誌「詩人散歩」(平成18年夏号)
◆これまでの【鋸Q宏友事務所日誌】を掲載しています。

 有限会社浪 宏友事務所日誌


○月○日

 相手の身になって考えなさいと言われますが、これがなかなか難しい。相手が自分の身になってくれないことには腹を立て、自分は相手のことなど考えてもいない。お互いにそうなっている場面をしばしば目撃します。
 「もう少し相手のことを考えて上げたら……」とアドバイスすると、「それは向こうに言ってくれ」と、ますます怒りだしたりします。
 ちょっとだけ、相手の身になる努力をしてくだされば、自分も相手もずいぶん楽になるし、ものごともうまくいくんですけどねぇ。

□月□日

 相手の身になることを考えていたら、なりかたにもレベルがあることが分かりました。
 まず、相手を理解すること。相手の外側から相手を理解するわけで、いわゆる評論家スタイルでしょうか。
 次いで、相手に共感することです。共感にも、浅い共感、深い共感など、レベルがあるように思われます。
 踏み込んでいくと共感から共有に発展するようです。
 相手の抱えている問題を共有する、相手の置かれた状況を共有する、相手の悩んでいる心を共有するなど、ここまでくると、本当に相手の身になってしまいます。
 気をつけなければならないことは、相手の身になりながら巻き込まれてしまって、自分を失っていくようなハメに嵌まらないことでしょう。そんなことになったら、せっかく相手の身になれた価値が失われてしまいますから。

△月△日

 相手の身になる究極は、共生でしょうか。相手と共に生きるのですから、すでに自他一体の境地ですね。
 自他一体になりながら、互いに互いの持ち前を発揮して、その時その時の役割を果たしていくことができたら、どんなに素晴らしいことでしょう。
 家庭も、職場も、遊びも、心安らかで活き活きとするのではないでしょうか。問題が生じても、みんなで力を合せることができますから、より良い解決へ向かうのではないでしょうか。
 みんながそんな間柄になったら、きっと幸せいっぱいになることでしょうね。

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