【表紙の話】
◇私の住まいは長野県長野市にある。ここには有名な善光寺があって、全国各地から、参拝者が訪
れる。なにしろ、大陸から日本に伝来した最初の仏像が祀られているという由緒ある寺院である。
多くの人々の信仰心を集めても、不思議 はあるまい。
◇毎年一月には、妻とともに参拝するのが私たちの習わしとなっている。今年も七草の日に山門を
くぐり、本堂で拝んだあと境内を散歩した。
◇奥のほうに入ると小さなお堂があって、その中に表紙写真の仏像が祀られている。善光寺は古い
寺院であるから、さまざまな言い伝えが残っている。そのひとつがこの像である。
◇お堂の脇に立て札があって、「爪彫如来像」の表題のあとに、次のようにしたためられている。
◇浄土真宗の宗祖親鸞聖人は、越後から東国への旅の途中、善光寺に百日間逗留されたと伝わって
います。この阿弥陀如来は、聖人が逗留中に爪で彫られたも のといわれ、特に眼病を治してくだ
さる仏さまとして篤く信仰されています。◇阿弥陀如来が瑞雲の上で、親指と人指し指で輪を作り、
右手を胸の高さに、左 手を下に垂らしている来迎印を結んでおられるところをみると、信仰深い
人の臨終に際して、西方極楽浄土からお迎えに来て下さったところであろうか。
◇この阿弥陀如来像が、眼病を治してくださる仏さまとされたのは、眼のあたりの特徴によるので
あろうか。
◇この如来像には、人々の素朴な、しかし切実な願いが、幾重にも重なっているのだなあと、私は
感慨を覚えたのであった。 (浪)
【本号投稿者】
櫛田 令子(東京都杉並区)
中原 道代(長野県長野市中御所)
倉本佳代子(千葉県市原市)
織田 信雄(兵庫県神戸市北区)
山口ハル子(宮崎県宮崎市佐土原町)
伊藤 一路(東京都豊島区池袋)
山本ルイ子(東京都豊島区池袋)
大戸 恭子(東京都杉並区高円寺北)
山本 恵子(東京都新島村本村)
大場 惑(東京都杉並区)
【奥 付】
詩誌『詩人散歩』平成二十二年春号(季刊)
平成二十二年三月一日発行(通算第八十四号)
編集者・浪 宏友
発行者・菊地良輔
発行所・夕焼けクラブ
ホームページ http://www4.ocn.ne.jp/〜yuyake/
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