詩誌「詩人散歩」(平成28年夏号)
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 編集後記

    【表紙の話】

◇私はヤグルマソウに郷愁があります。少年時代、東京の一隅に、季節になるとヤグルマソウの小さな群生が現れ、一面が青紫に染まりました。白や桃色の花も混じっていたように思います。どこだったかも思い出せない淡い思い出です。
◇矢車は、軸の周囲に矢羽根を放射状に取りつけた一種のかざぐるまで、こいのぼりの竿の先に取り付けたりします。小さな円錐形の花が、いくつも、放射状に広がっているすがたが矢車に似ているので、ヤグルマソウと言ったのでしょう。今は、ヤグルマギクと呼ばれています。
◇ユキノシタ科にヤグルマソウと呼ばれる多年草があります。枝の先端に五枚の葉が、矢車の形に広がっています。こちらと混同しないように、花の方はヤグルマギクと呼ばれるようになったようです。
◇ヤグルマギクの原産地は地中海沿岸だそうです。ヨーロッパでは古くから親しまれてきた花で、麦畑などに自生するので、コーンフラワーと呼ばれ、青紫の花の美しさから、サファイアの最高級の色合いをコーンフラワーブルーと呼ぶそうです。
◇野生のヤグルマギクを園芸用に改良し、その過程で、桃色や白の花も生まれてきたということでした。
  ◇日本には、明治時代に伝わってきたのだとか。園芸用として渡来したのだと思いますが、いつしか野生化したのでありましょう。ヨーロッパの野生から園芸用へ、園芸用から日本の野生へと、転変してきたのですね。
◇表紙写真は、自宅付近の路傍に咲いていた、薄桃色で一重のヤグルマギクです。風に吹かれて揺れ動くので、カメラを構え続け、風が止まるのを待ってシャッターを押しました。(浪 宏友)

    【本号投稿者】

伊藤 一路(東京都豊島区)
山本ルイ子(東京都豊島区)
大戸 恭子(東京都杉並区)
大場  惑(東京都杉並区)
中原 道代(長野県長野市)  

    【奥 付】

詩誌「詩人散歩」平成28年夏号
平成28年6月1日発行(通算第109号)
編集者 浪 宏友
発行者 菊地良輔
発行所 夕焼けクラブ
 詩人散歩編集部
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