詩誌「詩人散歩」(平成28年秋号)
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 編集後記

    【表紙の話】

◇夏の河川敷に、小さな紫色の花が咲いています。初めて見たとき、かわいい花だなと近づいてみると、二種類ありました。いずれもつる草で葉も良く似ていますし花も同じように見えました。図鑑で調べてみましたら、ひとつはサオトメカズラ、もうひとつはガガイモでした。最近は、遠目に見ても区別がつくようになりました。
◇本誌の表紙にさせていただいたのは、ガガイモの花です。花の直径が一センチメートルぐらいの小さな花で、表面に長くて白い毛が密生しています。花の真ん中から白くて長いめしべが伸びていて、めしべの先が鉤がたにちぢれています。
◇ある日、ガガイモの花の先で蝶々がもがいていました。みると、蝶々の足がガガイモのめしべの先の鉤がたのところに引っかかっているのです。よく見ると、蝶々は、無闇にバタバタともがいているのではありませんでした。両の羽根を花に押し付けて足を外そうとしているのです。何度も、何度も、全身の力を振り絞っているさまがよく分かります。がんばれ、がんばれと応援しましたが、よほどしっかり絡んでしまったのか、外れそうにありません。やむを得ず蝶々をつまんで引っ張り、めしべから外してあげました。飛び去る蝶々を見送りながら、なんとも不思議な事件だなあと思いました。
◇古事記には、少名毘古那(すくなびこな)の神が、蛾の皮で作った衣服を身に着け、ガガイモの実を船にして、大国主の神の前に現れるという場面が記されています。よほど小さな神さまだったのですね。この二柱の神が協力して国造りをなさったとあります。
◇ガガイモの花が落ちて実がなります。冬になると実が割れて、わた毛のついた種子が風に運ばれます。長さ七、八センチメートルの小さな実です。(浪 宏友)

    【本号投稿者】

伊藤 一路(東京都豊島区)
山本ルイ子(東京都豊島区)
大場  惑(東京都杉並区)
中原 道代(長野県長野市) 

    【奥 付】

詩誌「詩人散歩」平成28年秋号
平成28年9月1日発行(通算第110号)
編集者 浪 宏友
発行者 菊地良輔
発行所 夕焼けクラブ
 詩人散歩編集部
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