【表紙の話】

　昨年の二月、久方ぶりに大先輩とお会いするために、東京の吉祥寺に行きました。ＪＲ吉祥寺駅で電車を降りましたが、少し時間が早かったので、井の頭公園に立ち寄ることにしました。
　東京在住の頃は、よく歩いた井の頭公園です。井の頭池は、神田上水の水源地でもあります。いつも噴水が上がり、水鳥が遊び、スワンボートが浮かんでいました。ところが、今回は様子が違います。池の周りに大きな柵が巡らされているのです。
　池のほとりに来て、驚きました。水がないのです。広々とした池の底が露わになっています。そのときに、七井橋から撮影した井の頭池の様子を本誌の表紙写真にさせていただきました。細い水路が見えますが、これは湧き水を逃がすために作ったもののようです。
　池のほとりに立てられていた説明によれば、平成二十九年は、井の頭恩賜公園(これが正式名称のようです)が開園してから百年目に当たるのだそうです。この機会に、汚れてしまった井の頭池に、かつての清らかさを取り戻そうと三回にわたってかいぼりを行ない、今回がその三回目だということでした。
　水抜きをして、池全体の掃除をするとともに、外来魚や外来動植物を取り除き、本来の井の頭池に戻そうという、壮大な取り組みだということです。
　この後は、数年ごとにかいぼりを行なうそうです。井の頭池を愛する方々の尊いご努力に頭が下がりました。（浪）　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　【本号投稿者】

伊藤　一路（東京都豊島区）
中野　典子（東京都町田市）
中原　道代（長野県長野市）
大戸　恭子（東京都杉並区）

　 　　　　【奥　付】

詩誌「詩人散歩」平成３０年冬号
平成３０年１２月１日発行（通算第１１９号）
発行者　菊地良輔
発行所　夕焼けクラブ
ホームページ　http://yuyake-club.sakura.jp/

　　 編集者　浪　宏友
詩人散歩編集部
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