陽炎 浪 宏友 |
あのときも ふたりして 陽炎になってたね 春の野の 明るい日ざしに 悲しみを押し隠して ふたりして 黙ってたね
今日もまた ふたりして
いつかまた ふたりして
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信頼 浪 宏友 |
目の前に荒れ地が広がっていようと 太陽が黒雲に引きずり込まれようと 空気が鉛のように重たかろうと ようやくここまで来たのだから
ぼくたちにははじめての土地だけれど
こんなに疲れ果てているのに
このまま休まずに歩いていこうよ
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私の藤棚 中原章予 |
ウグイスが鳴き 梅の花が散り 今 水仙の花盛り 畑には菜の花 たんぼにれんげ草 タンポポの黄色 桜の花は真っ盛り
我が家の藤は
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いのち 中原道代 |
福寿草が咲いている 庭のすみにやわらかな朝の光をあびて 福寿草が咲いている その傍らを小さな虫が這っていた 黄色の花が小さな世界を明るくしている たくさんのいのちが この広い世界を明るくしている 大きな大きな宇宙のいのちに育まれて いのちをつなぎ合いながら 今 私達は尊いいのちを生きている 私はいつまでもこの小さな世界をながめていた 早春の風が福寿草をやさしく 通り抜けて行った
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散策 山本恵子 |
コロコロリ 今日は天気だね そうだよ 冷えるけど歩こうか どこまでゆくの 足の向くまま こんなことも気分良いね
コロコロリ 木の芽も小さく出た
コロコロリ かなり遠くにきたね
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散歩 山本恵子 |
午後から散歩しよう 浜の森を通り浜辺にでた カモメの群れでみとれた 羽でも休めているのかい 可愛く見える白い鳥
散歩のコースは海と山
波打ち際で貝殻拾い
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あなたの隣に 小田嶋紀江 |
あなたの車のナビゲートシート 私の指定席だったはずなのに 今は知らない彼女が座っている 悲しくて、虚しくて、涙もでない 朝早く起きて ソフトクリーム食べたさに行った小岩井農場 横に並んで歩いて 肩がコツコツぶつかった そのここち良さに脳の中がいっぱいになった 羊の頭をなでるあなたの無邪気さに心があったかくなった いつしか時は流れ 二人の距離は遠くなった もうあなたに会う事もないだろう。 あなたの部屋でふざけて笑い合った日々 記憶の底に沈んでいる 今ではあなたとの思いでが私の宝物 ありがとう そして さようなら あなたの車のナビゲートシート
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葉桜の時期に 小田嶋紀江 |
何故 あなたは逝ってしまったのだろう この世界では もう限界だったのだろうか 純粋すぎる魂は あれから十一年もたつのに 私の中ではあなたのお葬式の日 雨に打たれつづけていたあの冷たさは一生忘れない 涙は止まる事はないんだと初めて知った あなたの唄声が聞こえてくると胸が押しつぶされそう 悲しくて悲しくて今生きている事すら罪のよう あなたのその存在をもっと感じていたかった 三十七歳のあなたと共に歩きたかった 渋谷で偶然逢えた時は本当に嬉しかった 一生の思い出をありがとう あなたの短かすぎた人生 でも充分 生き抜いたのだと思う いやそう思いたい あなたの遺してくれた歌や詩が今の私をいやしてくれる あなたを一生想いつづける事をここに誓います 桜の舞い散るこの時に
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