人は 浪 宏友 |
これほどまでのつらさの中で 人は 何故 生き抜こうとするのか
これほどまでに裏切られても
これほどまでに挫折を繰り返しても
これほどまでの悲しみの中で
生きることへの疑問に満たされながら
独り取り残されるさびしさから
生きるという真実が突き上げてきたある日
疲れ果て傷だらけになった身と心
人は 生き
やがて静かに瞑目するその日まで
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雨上がりの朝に 中原道代 |
カーテンを開けると どくだみの花が一面に咲いていた 深緑の葉は露で光り 目が覚める程に真白い花 可憐で凛としている 踏まれても 刈られても しっかり根を張り この時とばかりに咲いている 時おり吹く風にしなやかに揺れていた 私もこの地にしっかり立ち 吹く風に身をまかせてみよう 今 この時を 私らしく咲いてみよう 時を重ね 年を重ねつつ
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平和 中原章予 |
教会への車窓 本をとじ目を窓外へ 美しくならされた田 水をなみなみたたえ そのあぜで 夫婦仲良く田植えの準備 ほほえましいなごやかな光影 平和のありがたさ テレビでふと目にするアフリカの子供 毛布をまとっていた 今年も沢山の方の真心を頂く 早くめぐまれない子供の元へとどくといいなあー 教えのおかげ様で目にする物 ことがら すべて心にしみ入る 心静かに正見正思出来る今 本当に幸せを感じ 思わず合掌する 世界の平和を念じつつ
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空っぽ 小田嶋紀江 |
私の心の中は空っぽ。何も浮かんでこない 空虚な気持ち 毎日の虚無に押しつぶされそう 一人で眠れぬ夜を過ごす テレビがチカチカ映ってはいるが、音は出ていない 最近めっきり音楽も聴かなくなった 心に突き刺さるものが何もない 鈍感になってしまったのだろうか 心のスポンジが何も吸い込まない こぼれ落ちる水滴 人の視線が怖い 拳銃の視線は私を撃ち殺す こうして毎日が過ぎていく 時間だけがどんどんたっていく 私の空っぽの心を残したまま地球は本当に回っているのだろうか 言葉が、言葉が裏切っていく 何も信じられない 自分の存在すら現実ではないようだ 腕に触れてみる 確かに腕はそこにある しかし透明のように思えるのは何故だろう 空っぽの心を抱えたまま明日の意味を探しつづける
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このまま 小田嶋紀江 |
このまま夏よ終わらないで 肌が汗でベトベトになってもいいから 夏よ終わらないで今を生きている感じがする時期だから まだ夏は始まったばかりなのに 何だか寂しい気分 夏と冬の追いかけっこ そんな地域に生まれたからかな 暑い日射しすら私の気持ちを高揚させる 午後の昼寝も気持ちいい 暑くて目覚めたとしても冬の寒さよりはましだそう、このまま、このまま、このままずっと夏が続けばいいのに・・・ 毎年一生に一度の夏を感じている 太陽と向日葵 一冊の厚い文庫本 これを読み終えたら夏も終わるのだろうか それならゆっくりゆっくり読もう 夏よ行かないで 私をおいて行かないで 皆が浮かれ騒いでいる夏 海も花火も今年はやらないけれど このまま部屋で一人暑い部屋でお気に入りのベッドで暖かい光りを感じていたい
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朝徳 山本恵子 |
早朝四時三十分台風前墓参り 帰路大廻りして海岸に出る 桟橋に釣人らしき影一つ
朝の空気を胸一杯何と気持の良いことか 釣人魚を釣り上げた
私も朝徳家路につく
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健康 山本恵子 |
昔の人が言っていた早起きは三文の得とか 二日続きの早起きで朝はやっぱり気持ちいい 眠は半分ねむいのに何たることか欲を出し どんな仕事に追はれても 健康の喜びここにあり
少し風がでて雲が流れる程良い
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夏 山本恵子 |
ラフな着衣身にまとい 夏って大好き汗かいて何度着替える事だやら ストレスなんかあっちいけ
採りたて野菜は新鮮だ
テレビのスイッチ入れたとき
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