立ち去る人 浪 宏友 |
これからどこまで行くつもりですか ぼくがついて行ってもいいのでしょうか それともひとりで行ってしまうのですか
止めることはできません
あなたがいないこの土地は
それでも行ってしまいますか
残るのはぼくのなきがら
ついていってはいけませんか
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石拾い 中原道代 |
玉砂利の中から小石を拾う 手ざわりを楽しみながら拾っていく みんな違う色 違う形 可愛いバケツがいっぱいになる きれいに洗って布で拭き 碁盤仕切りの空き箱に ひとつひとつ置いていく 四歳の女の子は 今 いい顔をしている 道端のなにげない石たちが 箱の中で宝物になって並んでいる やがてあなたがそれを忘れ去ろうとも 体の奥深く慈しみの心が芽生えている 今 この輝く瞳を守るのは私たち この小さな心を磨くのは私たち
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季節のつぶやき 佐藤恭子 |
酒飲んで 酒に呑まれて 酒呑んで 遠い昔の 夢にまどろむ
もういいと
われものを
冬の空
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さくら 山本恵子 |
二人でブランコ振りながら さくら眺めて鳥の声 風に吹かれて散るさくら 緑の木々も美しく 幼い頃を思い出す友の顔 さくら可愛いや楽しいね
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楽しい一日 山本恵子 |
浅草はまつりか何かあるのかな 多くの人出に驚いて 楽しい一日時流れ
十年の長さの思い出を
今日という日は良かったね
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機上にて 山本恵子 |
飛行機で海みおろして白い波 しぼりのようなうろこ雲 船酔いないが 耳いたい
次々変る目の前に
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髪飾り 山本恵子 |
桜の花びら風に舞い 三人並んでみとれて歩く 隅田川客船の人と手を振り合う 春の日差胸一杯 久し振りに逢えた人 尽きぬ語らいいつまでも
桜の花が髪飾り
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あーちゃんへ 河野裕子 |
あーちゃん わたしは あーちゃんの手が大好きです どんな小さなものをも大事そうに ほほ寄せていつくしみそして合掌する そのあたたかい手が 大好きです
あーちゃんの心は
ひたむきに
あーちゃん
あなたの心を思う優しい心は
そばで ほら
その仲間に私もいれさせてくださいね
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再会 山本尚男 |
桜吹雪を浴びながら 何から話すか公園のベンチ 十年前がまるで昨日のように浮かぶ 浮かぶ 苦しかったあの時が今は楽しい想い出か 時のたつのを忘れがちこの宝物は 大事にいつまでもしまっておいて 時々小出しにしてかみしめたいと思う 空は晴れて恵まれ過ぎた今日に感謝
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