電車 浪 宏友 |
電車は猛スピードで走っています けれども ぼくの心の速さにくらべれば かたつむりよりもまだ遅い あなたの白い胸元に ぼくの思いはとっくに届いている筈なのに ぼくの身体は まだ 揺れる車中にある
窓の外は真っ暗です
電車はいつまでも走っています
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ひとすじの光 中原道代 |
今 彼女は大きなカバンをおろして ただいまと言った 迷いのないまっすぐな目をしている 心やすらぐ場所を求め 自分らしく生きたいと願い続けてきた 長いトンネルを旅して 今ようやくひとすじの光をみつけた ひとりでは生きられない いつも大きな力に守られている このゆるぎない思いが彼女をささえていた みんなのエールが勇気になって 今なら頑張れる お役に立たせてください 心澄ませ仏さまに手を合わせる その横顔に明るい光がさしこんだ
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新たな一歩 中原道代 |
おかえり 家族の笑顔がむかえてくれた 堅く締めた心の紐を少しゆるめた こらえていた思いがあふれ出る 温かな日だまりが私をやさしくつつんだ 重い荷物が軽くなっていく 長いトンネルを抜けて 今 私は 仏さまの大きな大きな掌に立っている あらたな一歩を踏み出そう 目をそらさずに進もう いつかきっとこの笑顔で まわりを明るく照らせるように
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心配の日々 志賀由佳 |
昔の主人
久々に主人酒をのみ 昔と変わらずうるさくなり 昔のことが思い出され 今までだったらついてゆけないと思い よくも今日までついてこれた おしえのおかげさまで幸せになれた 自分にバンザイ
息子
大人もいいとこ四十歳の長男をやっと出すことが出来 ほっとするのは一瞬 どうして生活しているやらと 親は本当に無駄な苦労が多い
住居
古い家 暗い家 せまい家 やっと今松竹梅桜の庭にかこまれて 何ともすばらしい家に生活出来夢のようで ところが又突然この家を売りますので えー また引っ越し 九月迄に どうかご先祖さま 仏様の安心していただける家をお手配くださいませ 祈るばかりです
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