日射し 浪 宏友 |
暑い日射しに照りつけられて 流れ落ちる汗に全身を濡らしながら ぼくは 忘れられた電柱のように立っている 誰にも気づかれず 音も途絶えて
暑い夏の日射しは暮れることを止めて
暑い夏に小突かれて
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一枚の写真 中原道代 |
終戦直後の長崎 息のない弟を背負って 裸足の少年は直立不動で立っていた 悲しい目は前を見すえ火葬の順番を待っている ここに私は六十年前の兄を見た 一歳の兄は今異国の地に眠っている 人々の慟哭がうねりになって 私の胸に押し寄せて来た この悲しみをしっかり受け止めよう 心の深いところに問いながら きのうよりも今日 今日よりもあしたへと 静かな歩みを続けるほかはない
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季節のつぶやき 大戸恭子 |
鳥かごの つがいの鳥の 可愛さよ めおとになりて 仲むつまじく
座布団に
気になるは
すき間風
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夜半 山本恵子 |
詩人散歩 手に取りて 何度 読み返しても 皆さん素晴らしい 心打たれる ちょっぴり 私も仲間入り
詩を書く鉛筆大好きで
今夜半 台風の中心に入る
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私のフジだな 中原章予 |
真冬に真っ白の梅の花 そして紅梅も終り 私のフジだなに 真っ白のフジの花 十センチ 二十センチ 白く美しく開花 そしてちってしまう 淋しいフジ枝に青々と 青々と新芽が出た もう何年になるだろう 私のフジだなに 毎年春になると二羽のハト せっせと巣作りをし 二羽のハト仲良く 卵をあたためているのか 子バトの誕生そして巣立ち 今私のフジだなの巣空っぽ 毎日家の電線でポーポーと その鳴声きいて心なごみ お早ようハトさん 私に幸せを毎朝ありがとう
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