声 浪 宏友 |
春のこない冬もある 男はつぶやいて立ち去った 垂れ込めた雲に押しつぶされて 景色は奇妙にひしゃげて見えた
枯れはてた荒れ野に打ち捨てられた
春のこない冬はないわ
凍てつく大地に風も吹かない
くぐもった声が地面の奥から漏れ出てくる
時が動き出したのだろうか
春のこない冬なんてないわ
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瞳の奥 中原道代 |
一枚一枚 しその葉摘んで 梅にのせれば香り立つ 汁に紅色染めていく
ガラスびんの向こうから
瞳の奥に光るもの
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自然のめぐみ 山本恵子 |
自然の恵みに感謝しながら 食用野菜あれこれと 神棚に榊 墓前用花 収穫した後が多忙になる 平凡だけどこのくりかえし これでいいのか これでいい 充実した幸福感じるひととき
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葉牡丹人生 山本恵子 |
葉牡丹つくりは面白い 正月用生花と墓前にと 丹精こめて管理する 咲くを楽しみ通う畑
一人暮らしの夜もふける
笑うかどに福きたるごとく
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母智丘の桜 中原章予 |
幼き日 父と見た母智丘の桜 八十路を過ぎて再度見る老木の桜 自らの老いを見る
美しく咲きみだれし花を眺め
(宮崎県都城市の母智丘(もちお)公園の桜はさくら名所百選に数えられています=編集者)
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いにしえの 木村容子 |
いにしえの母智丘の桜 神宿る都の城の 民やしあわせ
(宮崎県都城市の母智丘(もちお)公園の桜はさくら名所百選に数えられています=編集者)
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