眠る きみへ 浪 宏友 |
きみの声を聞くことは もう できなくなってしまったけれど きみが 何も 語らなくなったわけじゃない ほら 今だって 小首をかしげながらしきりに言葉を選んでいる
きみのすがたを再び見ることは
だから いつものように
だから これまでのように
いつまでも
(三十五年という短い生涯を走り抜けて去った姪を偲んで)
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春が来た 中原道代 |
教室の窓の外 枝が揺れて桜舞う 風が吹くたび桜舞う 少女はうっとり眺めてる
四時間目終りの合図でとび出した
遠くで先生呼んでいる
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季節のつぶやき 大戸恭子 |
週刊紙 読んで思うは 「ホントかな」 読者の立場 考えてくれ
口びるを
玉ねぎの
鉛筆を
似てるから
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わが子の声 山本恵子 |
炬燵の上にバラの生花 今は亡き我が子の顔に見えてくる 母ちゃん今帰ったよと どこからか聞こえたようなそんな気がする 路往くお客の笑声
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足元にも 山本ルイ子 |
春になるとさくらがとてもきれい でも足元にも たんぽぽ つくし ふきのとう アリさんたちもせっせと穴堀り そんな姿に 私は元気をもらった
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