少女へ 浪 宏友 |
君は風 後ろからきて ぼくを追い抜き たちまち町並みに紛れて行った 取り残されたぼくは 君の余韻を見送っていた
君は花
君は稲妻
君は流れ星
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春の息吹 中原道代 |
雨上がりの朝 街路樹の下 車を止めた
人影のない静かな街
搬送口に止めたトラック
車をゆっくり発車した
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霧の朝 織田信雄 |
一月の濃い霧の朝だった 私は住宅地内の四つ角に 立っていた 向いからふいに現れる ゴミの袋を持った人 左方向から近づいてくる こども達の声がある 目の前に忙しく現れて 消えてゆく勤め人がいる 「おはようございます」という声があっちの方から こっちの方から聞こえてくる ───霧の中に朝が詰まっている
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夜明けの浜 山本恵子 |
伊豆の山々が浮き上がり 利島・式根・神津島と見え 赤青黄の電気 ネオンみたいに素晴らしい朝
立ちすくんで見ていたら
食事前だから又来るね
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本当のこころ 中野典子 |
忘れかけていたあの思い みんな持っていたあの思い 思い出させてくれる あの子たち 純粋で 一本気で 素直で 何も疑わず 小さい頃 みんな持っていた あの思い 又 味わいたくなる あの思い 小気味いい 忘れかけていた あの思いが 沸き出してくる ホッとする あの思い 小気味いい あの子たちは 忘れかけていたものを置いていって 毎回 忘れ物を忘れている その バランスが 小気味いい
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ハンディ 大戸恭子 |
ハンディ大きいな でも もうちょっと頑張ってみるか 満足しないかもな 納得いかないかもな ただ疲れるだけかもな でも もうちょっと頑張ってみるか いいか これが出来たら えーと 次はあれか 辛いか 休みたいな でも もうちょっと頑張ってみるか みんな平気でやってるな くやしいよ だけどいいよ 精一杯やれば みんなより多く頑張ってるのさ うちらは強いんだ 負けないで なあ もうちょっと頑張ってみような
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私の一日 山本ルイ子 |
少し温かさを感じながら 窓の外を眺めていた。 右には楽しそうにランチを食べてるカップル。 左には営業がうまくとれなかったのか 疲れた顔で一服をしている男性。 噴水の周りには子供が無邪気に走っている。 そんなありきたりな風景だけど 季節を感じながら見ていると 毎日がとても新鮮になれる。 『さて、今日も仕事頑張ろう』と。
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孝行 伊藤一路 |
生まれて初めて死にたくないという感情を持った 死にたいと思っていた訳ではないが 事故や病気など運命だから仕方ないと思っていた
昨年 子供が生まれた
感情が変わると行動が変わった
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