点 景 浪 宏友 |
ふと 顔を上げたら きみの瞳とぶつかりました
まぶしくって
「きれいだよ」
ぼくときみの間には
焼けつく夏のある日の午後
それからどれくらい過ぎたのでしょうか
「きれいだよ」
見交わした微笑みと微笑みが
ぼくたちは
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刺しゅうと私 中原道代 |
一針一針 糸を刺す 一目一目 糸を刺す 白い教会 茅ぶきの屋根 垣根の草 花盛りのりんご 遠い国の風景が見えてくる 足元の小川 続く小道 針の足は止まらない 美しい風景は果てしなく広がって 私の自由な世界になる 夜はすべての色を消し 朝の光で蘇る
遠くで教会の鐘が鳴っている
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カレンダー 織田信雄 |
一枚のカレンダーが壁に貼ってある 美しい風景のない 人の笑顔のない 目を奪う花のない 爽やかな風のにおいもない 木枯らしの気配もない 縦横に並んだ数字ばかりの一年 月火水木金土日
あくまで判りやすくという
今は七月、旧暦で文月という
今年が2009年だと最上部に
けれど日々、
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海 山本恵子 |
墓参りして海岸へ あたり一面霧につつまれ 人影もないふりかえって 波打ちぎわに 海草の花
画にかいて見たい美くしさ
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国境の花 大戸恭子 |
貧しい国と豊かな国の間に 花が咲いた 花は豊かな国の方を向いた 貧しい国には見向きもせず まして太陽には笑顔で ささやいているおまえ
きっといつか豊かな国に
花も豊かさには勝てないのさ
太陽は今日も暖かく
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