あさぼらけ 浪 宏友 |
悪魔が跳梁する夜 息をひそめて耐え続けてきた 複雑に歪んだ闇いっぱいに 漆黒の顔貌がどす黒く笑っていた
響きわたる怒声が我が身を切り裂き
這いずり回る渦の中
やがて
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すすきの中で 中原道代 |
赤く割れたざくろの実 秋は里にも降りて来た いつもの河原に腰かけて 子供の姿を眺めてる 蝶を追いかけ ばったを追いかけ すすきの間を駆け巡る 子供たちの笑い声 豊かな水の音 暖かな日差し ふと思う 黙々とただ急いでいたあの頃を 今、私の眼差しは穏やかだろう 秋の風に尾花がしなやかに揺れている
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曼珠沙華 中原章予 |
カタンコトン カタンコトン 仏の教え求めて 今日も又 教会へ向う 汽車にゆられてなにげなく 車窓より外へ目をうつす 黄金色にみのり 頭をたれて稲穂をめでるが如く 真赤に咲き乱れし 曼珠沙華 ふと思う 若き日は御教えに真赤にもえて 老いて今少しずつしぼみつつ居る 秋の風が冷たく身にしみて 涙 ほほをつたう
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成長 伊藤一路 |
子供が一歳を迎えた 子供の成長ぶりは驚く程早い 昨日できなかった事が 今日はできるようになっている 昨日理解できなかった事が 今日は理解できるようになっている この一年の変化は凄い
私も父として一歳を迎えた
負けないぞ!
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好きな季節 山本ルイ子 |
秋は寒いのに どうして葉は赤や黄色に色づくのだろう。 秋は寒いのに どうして食欲が出るのだろう。
秋になると
けれど、私はそんな秋が好きだ。
そして また 一年“早いなぁ”と
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愛の道 山本恵子 |
身も心も安らぎて コタツに入って筆をとる 遠くの空に思いをはせ 愛する人が目に浮かぶ 人の一生明日も知れず
綴る指先思いを込めて
胸の痛みは風にのり
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小品三題 大戸恭子 |
信仰と食生活
私たちは生きる為に良く食物を神!
疲労感
ペッタリ ペタペタ 万年布団
われら寄生虫
電車が地球の上を走る様に
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小さな懺悔 織田信雄 |
夕食後に風呂に入るのが楽しみだ なみなみと満たされた風呂の湯に さらに平和な明日を夢見て 毛むくじゃらの足が浸かっている 私の醜い足
スーダンの紛争のなかで
薄汚れたわずかの布を身に纏い
私は明日捨てるだろう
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