叫 び 浪 宏友 |
渦巻き 燃え盛る 炎の底から かぼそいすすり泣きが漏れてくる
風を招き 猛け狂う 炎の底に
振り仰いだ顔が 恐怖におののき
空が 煮えたぎり
立ち上がろうとして 足を踏みしめ
そのとき耳をかすめた微かな叫びが
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秋の夜 中原道代 |
居間にカサブランカが香っている 静かな夜が戻ってきた
弾むおしゃべり
今日の終りに少しのお酒
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結 婚 大戸恭子 |
それが原石だったとは 誰も気づかないでしょう それがダイヤモンドの 原石だったとは…… でも、私はそれを 手に入れてしまった。 磨いて 磨いて 光が少しでも差したなら キラッと輝く石よ 幸せはなるものではな く 感じるもの 少しでもチャンスがあったなら 貴方は輝くのね 私は原石を手に入れてしまった。 磨いて 磨いて 二人で幸せを感じたい
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海 織田信雄 |
海は希望の輝きを知らない 希望を求めてやまない人間の 叫びを静かに受け止める
海は絶望の暗黒を知らない
海は人間の言葉を知らない
海は自然の持つ力を知っている
海は人間の際限のない欲望を知っている
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優しい事 伊藤一路 |
人に優しくなろう その人の為に本当に優しくなろう 本気でその人の事を考えて‥‥ 厳しくする事 見守る事 見放す事
喜ぶ事 悲しむ事
それができたら
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甥っ子 山本ルイ子 |
私の大好きな甥っ子は、小学三年生。 野球部。B型のおうし座。
秋になると、甥から運動会で一番に
それが何年か前からの年中行事になっていた。
「はい、これおみやげ」と甥が私にくれた。
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畠の生きがい 山本恵子 |
畠仕事は楽しいけど 暑さ厳しく手の痛み 無理せず帰ろう ごくろうさま
照りずいか黒と縞大きいね
年とりて仕事なく手はしわだらけ
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