光 浪 宏友 |
あてもない旅路 歩き疲れて 冷たい夜道で立ち止まったら 小さいけれど まばゆい光が 目の前を横切って 消えました
私は
それからしばしば私の中を
横切る光を 私の奥に
夜道に凍えているけれど
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葉ぼたん 中原道代 |
カーテンを開けると真っ白な世界 雪の彫刻になっている 体中が凍ってしまいそう 冬将軍に負けてる私 「しっかりしろよ!」 先生の大きな声がしたようだ 両手にぐっと力を入れた 軒下で葉ぼたんが鮮やかに咲いている 中学校の午後の教室 だるまストーブが燃えていた 眠気をこらえた五時間目 急に先生「俺の子供の頃はなあ」 みんな待ってましたと椅子を引く 面白かった昔ばなし きびしくて あたたかくて おぼろげで せつない記憶 エールを送ってくれた先生の 賀状はもう届かない
葉ぼたんに朝日が当たってきた
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土のいたずら 丸山全友 |
窓ガラスにかまきりは今朝もいた 昨夜から全く動いてはいない 立冬を過ぎてから 見るのも初めてなら いつも目にしているのよりも大きい 小春日の当たる庭に放そうと 窓ガラスに近づくと 土のついた手で触れた跡だった
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努力即幸福 織田信雄 |
急いでいる時の信号は長く ゆったりしている時の信号は短い 同じ他人が大きかったり 小さかったり そんな風に思えることってありませんか その時の体調や気分で 同じ風景が華やいで見えたり 沈んで見えたり 『失われた二十年』と言葉は言うけれど はたして私たちは 何を失ったのだろう 現に生きているのだから 幸せの程度は同じはずなのに
高度成長が永遠につづくだろうか
火もまた涼し
グルメに溺れるよりも
ダイエットに励むよりも
環境を変えるよりも
自由の意志で辛抱できるのは
そうやっていれば私たちは気づく
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あなた 山本恵子 |
寒いながら歩く畠道 足も痛みなき一歩 畠仕事をたのしみに 四十五分片道散歩恵あり
二時間くらい仕事して
あなたが留守番ありがとう
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一本の道 山本ルイ子 |
あなたには大切な人はいますか あなたには守りたい人はいますか あなたには失いたくない人はいますか 大切な人を失ったときあなたはどうしますか 私は大切な人を失いました
先が見えません 今も見えません
車中で流れる景色を見ていると
雲のようにふわふわ浮いてた気持ちが
私はただ その道をまっすぐ
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顔 伊藤一路 |
『最近頑張っている事は何ですか?』 今聞かれると一番困る質問だ。 『頑張る』とはある目的の為に 精神的、肉体的に辛い事であるにも関わらず やり抜く事だと思っている。 趣味は頑張る物ではない。 真面目に楽しむ物。 頑張っている人はいい顔をしている。 今の自分はとても情けない顔をしている事に気付いた。 非常にかっこわるい。 親父としていい顔でなくてはならない。 たるんでる場合ではない。 いい顔になれ!
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無題 大戸恭子 |
志は高く造れ 子は高(貴)く作れ 史は貴く創れ 師は近くつくれ 死は清くつくれ 紙は木から作れ 尊き愛によせてあなたの夢のために。
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近くは見えない 清水俊平 |
近くは見えない 遠くよりも見えない 本当の宝は 遠くの理想郷(ユートピア)ではなく近くにあったりする 近くは見えない 遠くよりも見えない 本当の善は 遠くの国ではなく 近くにあったりする 近くは見えない
〔俳句〕
〔短歌〕
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