鈴の音 浪 宏友 |
闇にまぎれたうしろ影 小さな鈴の音がコロコロと
縁日の夜
おみくじを引こうと社務所に寄ったら
脇の小さな祠に足を向けたら
おずおずと話しかけ
ふと 立ち止まり
名も聞かず
闇にまぎれたうしろ影
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春 中原道代 |
河原で大きく深呼吸 風を 感じて 空気を 感じて 匂いを 感じて ああ 信濃の春 柔らかな草原に 可愛い花たちが生まれている 土手の向こうは満開の桜並木 ライトを点滅させて 介護センターの車一台 また 一台 ゆっくり ゆっくり 通って行く 川風が草をゆらし 桜をゆらす やさしい風が みんなを包む 残雪の山 豊かな水 私の瞼が 思い出の一枚を写し撮った
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ぼくだけの海 丸山全友 |
海が見たくなる
空を見る
太陽は灯台だ
空飛ぶ小鳥は小舟だ
ぼくのいる病院は豪華客船だ
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名物西風 山本恵子 |
寒い冬西風強く 島の名物島育ち 風に背を押されし 通う飛行場路美しい
木々も音してさわさわと
今晩メニュ仏前に
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大好きな街 山本ルイ子 |
電車を降りると大きなビルはなく田んぼや畑が広がっている 都心に比べたら何もないところだが、空気ははるかに澄んでいる いつもここに帰って来ると癒される 空気や景色、そして人に 十八歳の頃、都会に行きたくて田舎を出てきた 住んでみると何でもそろっていて行きたいところたくさんあって、毎日が楽しくて仕方ない もっと自分にやれることがあるって頑張ってしまう場所だ けれど、たまに疲れてしまう 空気や景色、そして人に
だから大好きな街に帰りたくなる
これが私のライフスタイルなのだ
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千手観音 大戸恭子 |
あの人の望み、この人の望み、 叶えてあげたい。 必要な時、必要なだけ 与えてあげたい 何が望みですか? 何が必要ですか? でも、私には2本しか手がない。 だから今は、 そっとあわせて 貴方の事を思わせて 下さい。
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