何処へ 浪 宏友 |
空をゆく舟に私が居る 地上の私が舟を見送る
何処から 何処へ
舟の私は沈黙している
何処から 何処へ
舟は空の青に紛れ
時の果て
壊れて散らばる舟の残骸
何処から 何処へ
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夏の朝 中原道代 |
涼しい風が吹いている 私 お水を一杯頂いて 朝顔さんにも水分補給 どこかでかっこう鳴いている ゆっくり顔を上げてみる 高い空に雲さんふたつ 風にまかせて形を変えて だんだん ひとつになっていく 開け放たれた窓 聞こえてくる幼な子の声 覚えたての「ママ」を繰り返す 私の頬が思わず緩む 自転車を引き出す音 エンジンのかかる音 暑い一日が動き出した 雲さんの影も形もなくなって 青空がどこまでも広がっていた
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きせる 丸山全友 |
たばこを吸い終わる 軽くきせるを吐く 残っていた煙が いくつも輪になって出てくる 「お前も味を覚えたか」 暗い小さな部屋で寝ころんで いつもきせるを使っていた 祖父が輪の中で笑っている
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家路 山本恵子 |
朝六時 畠に歩く片道 一時間 水 肥料 虫薬 まとめ買物 ショッピングカー 右手 左手 とりかえ歩く
主人の記念の紫カッパ
ヘビが怖くて眠っている時
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三回忌 山本恵子 |
主人も 早 三回忌 我身も年取る年齢と 車があってものれない私
自転車もあるけど車多く
ボランテアも月一通う
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誰かのために 山本ルイ子 |
玄関開けると空はどんより曇っていた 雨も降っていた そんな時は少し憂うつな気分になる
トコトコ駅まで向かっていると
すると、またてるてる坊主が立っていた
いつも、ごくろうさま!
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「父へ」 伊藤一路 |
「友達を大切にしろ」 「おふくろを泣かせるな」 「時間を守れ」 「漢字覚える暇あったら友達増やせ」 「いつも下っ腹には力を入れてろ」 まだまだ沢山ありました 優しい親父でした 叱られたのはおふくろを泣かせた時だけでした あなにとって僕はどんな息子だったのでしょうか いい息子だったのでしょうか 酒も飲まない寡黙な人でしたから そんな事話す機会もなかったですね ただ言葉は少なかったけれども 器用な生き方には見えなかったけれど 沢山の人に感謝されてきた親父の生き方を尊敬しています いつかそんな話しを二人で沢山したいですね 男同士で
本当にありがとう
ありがとう
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方円 大戸恭子 |
方円な関係は、法縁な関係 方が円を囲んだり、円が方を囲んだり 寒暖や、外敵から、守り合う、大切な関係。
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ご飯 大戸恭子 |
主人が注いでくれたご飯。 今日は、何となく私の方が少なめ。 男としての主張なのか、私への配慮なのか。 でも、何となく嬉しい。
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何処へ 大戸恭子 |
貴方が一番高く翔びたかった場所。 白い雲と、自由な鳥たち。 自由って何? しばられる事があるせいで出来た言葉? 幸せって何? 心地良い気分? きっとそれだけだね。
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