苦悩の日々に 浪 宏友 |
忘れていた恋が 突然 通り過ぎる 懐かしむ間もなく 苦さだけを残して
過ぎ去った日々が
振り返れば
目を上げれば
破れポケットに手を入れれば
忘れていた恋を
失くしたあの日を
なにもかも閉ざす真っ白な闇に
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陽光 中原道代 |
静かな日曜日 ストーブが激しく燃えている 障子を通す陽光が 近づく春を教えてる 鉢植えのつる草は 大葉を 一枚 一枚 落としては 新芽をすくすく育ててる 高く伸びた はからめの 蕾も大きく膨らんだ
私の前に道はまだ続いている
大きな手が私の背中をポンと叩く
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松 丸山全友 |
年末年始の出費に備えて農協のATMに寄る 産直で正月用の花を売っている 大菊や小菊などと松の入った束は 松のない束よりも五百円ほど高い 買うつもりはなかったが 妻の喜ぶ顔が浮かんだ 松も妻は買ってはいるが 庭から続く山裾辺りに 正月用の松ぐらいはあるだろうと 仏壇用と墓などの分だけの 大菊や小菊などの束だけのを買った 帰ってから家の裏から続く山を 改めて見渡すと松がない 松くい虫で枯れてからは 雑木と竹ばかりになっている 高校生の時に足を悪くした僕は 自動車には乗れて テレビやパソコンで世界のことは分っても 庭同様の山は 父について松を取りに行った時のままだ
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春の花 山本恵子 |
色形さまざま類の花 散るも早い花もあり 長もち色美しい花香る 主人の記念のチウリープ花 終りをつげて さって行く 暑さの強い花咲きて 庭に顔出し時わすれ語る 四季の香りと美しさ 見とれて早昼食となり あるもの食べて花と笑う
時のたつのもきにせずに
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お月さま 山本ルイ子 |
子どもの頃 思っていた事がある お月さまはどうしてついてくるのだろうって いつもの帰り道 空を見上げた 星が出ていると明日は晴れる 星が出てないと明日は雨かなって お月さまは出てないかなって 今日は満月だった
空はとってもきれいだった
お月さま また会おうね
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友 伊藤一路 |
三十年振りの友達と会う 田舎を離れ東京で暮らし始めてもう二十七年も経っていた 東京で会う友達は心の支えになっていた 皆が頑張っているのを知っていたから支えになった 故郷が同じと言う事だけではなく共有するものを感じた 素にもなれる 見栄もはれる 弱気なところも見せられる 褒めてみたりからかったり ありのままでいられる 友よ ありがとう これからもよろしく
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涅槃会 大戸恭子 |
釈迦が横たわっている そして、最後の言葉 弟子達の悲しみの声……。
ところが、弟子達の胸に何か
もう、誰も迷わない。
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冬の木は思う 清水俊平 |
冬の木は春を思う。 春は美しい、あのこの花のように。 そして、冷風の中に見る、青い空。
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