詩誌「詩人散歩」(平成27年春号)

yuyake
◆これまでの【詩編】を掲載しています。

  形                          浪 宏友

静まりかえった光の海
音のない音楽が流れている
音楽はどこまでも染みとおり
私はいつか 形を失う

それは 限りなく広がる荒れ野のできごと
石くれに足を取られながら
とげとげしい空気をかき分けて歩きながら

辛うじて残っていた微かな視力に
辛うじて映じた幽かな光

荒れ野の底で
見え隠れする光を求めて
定まらぬ歩みを続けるうちに
気づけば
見知らぬ世界に立ち尽くしていた

静まり返った世界
音のない音楽が染みとおる
私は新しい形を求めて
光の海に漂っている

  春よ来い                  中原道代

薄日さす寒い昼下がり
冬木立の向こうに
雪野原が広がっている
残された雪だるま
子供達の走り廻った靴あと
小さな手袋片方も落ちている
厳寒の中の元気者達
今はお家でひと休み

犬の足あとに大きな靴あとが並んで続いている
私も真っさらな雪にしっかり足あと付けて歩いて行く
白い飯縄山に
種まきじいさん浮き上がる春
はーやく来い!
雪の下に春一番の草の芽
みーつけた!

   一年の始まり               山本ルイ子

早く春になってほしい

見渡す限りの銀世界が広がっていた
太陽の光が反射してまぶしい
子供たちがはしゃいでいる
そんな姿を見ていたら自分の幼少期を思い出していた
寒さも忘れて必死に作ったかまくら
土手にジャンプ台を作ってミニスキーやそりすべり
懐かしさに酔いしれ止まらなくなってしまった
そして3月
あおげば尊しやほたるの光が聞こえてくる
雪の下からはつくしやふきのとうが顔を出している
もう、春だなぁ
私の一年はここから始まる気がしてた

  覚悟                     伊藤一路

子供の頃からずっと怖がっていた事がある
それは人に嫌われる事だ・・・
これが全ての根底にあり全ての事に影響してきた
あるときこの根底が自分の行動や周りの環境に
支障をきたしている事に気付いた
何の為だったのだろう・・・
何の意味があったのだろう・・・
嫌われる覚悟ができると
同じ気を使う事も意味合いが違ってくる
そうしたら色んな事が開けてきたように思う
周りも変わった
躊躇していた行動や抑えていた事が
急にバカバカしく思えてきた
今年はもっと何かありそうだ
覚悟を決めた