あの人 浪 宏友 |
毎日 この時刻 この道を あの人が 通る
私は 道端の立木になって
昨日も おとといも その前の日も
あの人は
その日
幾日かたって
あの人は 行った
それっきり
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栗 中原道代 |
静かに 雨が降っている リビングのテーブルで 私はひとり栗の皮をむいている 今朝はやく 届いた栗 嬉しい 嬉しい 贈り物 いがからむけたばかりの大きな栗 両手いっぱいの栗達が光っている また おせちの季節だね 美味しい栗きんとんができそう なんて ひとりごと 言いながら ひとつ ひとつ ていねいにむいていく 家族がみんな集まる日 食卓囲んでにぎやかに 栗きんとんほうばる顔と顔 渋皮をむく手に力を込める 雨足が強くなってきた 秋がまた深くなっていく
鍋の中で甘露煮が煮詰まってきた
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気づいてしまった 山本ルイ子 |
気づいてしまった、彼とは合わないことに
異国の場所で彼に出会った
彼が東京に出てくる事になった
すると彼が「一緒に住もう」と言った
なのにどうして?
気づいてしまった
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シンプル 伊藤一路 |
もっと自分の気持ちや考えに 素直でいいんじゃない? 大人になると色んな鎧を身に着け 守りカッコつけたがる 何から身を守ろうとしてるんだい? 何を恐れてるんだい? 何をカッコつけてるんだい? 見栄張っちゃってさ そんなだから色んな事が複雑になっちゃう そして自分の事なのに 本当の気持ちすら分からなくなっちゃう もっと色んな物捨てて 自由人でいいんじゃない もっと全てがシンプルでいいんだよ 子供みたいに
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