追いかける 浪 宏友 |
きみは 逃げる ぼくは 追う
きみは 隠れる
きみは 走る
逃げるきみに
けれど ぼくは
もう 手が とどくのに
きみが 走る
きみが走る道
きみが 走り去る
ぼくは きみを 見失い
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今を楽しむ 中原道代 |
落葉積もった小道を歩く さくさく さくさく 心地よい音 やわらかな感触 小きざみに歩いて行く 小さな足が追いかけて来る きゃ! きゃ! と歓声が上がる 目の前が明るくなった 広い道に大きな水たまり きのうの大雨でできた池 足もとにさまざまな小石達 小さな手が素早く拾って投げ入れる ドボン! ピチャン! ボョーン! みんな ちがった音がする 幼な子たちの真剣な顔 私も子供になっている かけがえのない今 もっともっと楽しもう 秋の風にのって走り出した子供らを 本気になって追いかけた
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不安 伊藤一路 |
不安になる これが正解なのか未だに悩む 不安になるのは覚悟が足りないからなのか 覚悟が決まれば不安などないはず じゃあなぜ覚悟が決まらないのだ 覚悟ができないのは僕自身がブレているから 正しい事が見えてないから 欲や願望が渦を巻いている 本当に大切な事は何なのか 正しい答えは何なのか 不惑の歳は過ぎているのに迷う 天命など程遠い
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ノスタルジー 中野典子 |
生まれ育った街に来た。 懐かしく、悲しい。 そこに私の帰る家はない。 母亡き後、主を失った家に今は、 見知らぬ誰かが住んでいる。 子供が産まれてから、毎日のように 通った実家。 笑顔で迎えてくれる人がいないのは もの哀しい。 街のそこかしこに、若かった私、幼い子、 母の姿が在った。そこに居た。 もう戻れない懐かしい日々。 昔は良かったという年配の男性のことを ノスタル(爺(じい))ジーというらしいが 私は爺にもなれないでいる。
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