小さなあなた 浪 宏友 |
大きな空の真ん中から 大きな声が聞こえる 声は四方に響きわたり 八方に広がり 無限の果てにぶつかって 跳ね返されて 激しくうねりながら 空の真ん中に戻ってくる
戻ってきた声が
光はたちまち広がりはじめ
めくるめく光の重なり合うところから
愛くるしい瞳で
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宝もの 中原道代 |
人影のない冬の河川敷 風の子はとびきりの笑顔でかけ回る 私はこぶしをにぎりしめ 北風に少し強気になっている 土手の上 クレーンが大きな角材を持ち上げた 三角だー! 子供が叫ぶ 屋根にゆっくり下ろしていく 今度は四角が下りてきた 積木がお空で大変身 大きなお家ができていく
梢でカラス達のおしゃべりが始まった
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嫌い 伊藤一路 |
怒っている人がいる 機嫌が悪い人がいる 駅員に怒ったり 店員に怒ったり 自然に怒ったり 世の中には仕方のないことが沢山ある 努力や お金や 運や 権力や 暴力を どう使っても どうにもならないことが山ほどある 自分の思い通りにしたいんだろうけど そもそも発想が間違ってる 多分 気付くまでずっと怒ってるんだろうな ずっと周りや他人のせいにして怒ってるんだろうな どうして怒るのか原因が理解できたら 怒っている人のことも好きになれるのかな 怒っている人や機嫌が悪い人が とても嫌いだ 諭してあげられるレベルに僕はない 時々機嫌が悪いからだ・・・・
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澱み 大場 惑 |
通りすぎて来た長い道のり 振り返れば 古びた時間が立ち枯れている
そちこちで出会った女たちの香りが
立ち止まって未来を見ようとすれば
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