夢よ 浪 宏友 |
夢よ 君は どこに隠れてしまったのか
昔は あちらにも こちらにも
たとえば 寒い朝 公園を歩くと
たとえば バスに乗って 窓の外を見ていると
たとえば 場末の大衆食堂に入ると
たとえば
夢よ
昔は 振り返れば そこに
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小春日に 中原道代 |
野原で 子供と シャボン玉を吹いている 次々と生まれる かわいいシャボン玉 キラ キラと 秋風に舞って消えていく 子供の瞳も光っている 一緒に飛んでるとんぼには はじける音が聞こえるだろう
私の足元に
遠くの山峰が白くなっている
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自然に 伊藤一路 |
人は僕に何を求めているのだろう 特別なものを持たない僕に 一体何を望んでいるのだろう それを考えて答えが出たことはない 自分の気持ちにもっと正直に生きる それを受け入れてもらえるのか 受け入れてもらえないのかはどうだっていい そう思えるようになったらとても楽になった 楽しめるようになった 正しいのか分からないが自然体がいいと そう母親に言われていたのを思い出す 正しく自然体でありたい
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四季のつぶやき 大戸泰子 |
カラオケの 窓を曲がって 行く電車 ハリー・ポッターの 分数線か
年をとり 腰も痛いし 目もかすむ
雰囲気が いつもと違う 路線バス
大戸家と 佐藤家の縁 不思議だな
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小さな宝もの 中野典子 |
猫と暮らす日々はとても心が豊かだ。 帰宅すると玄関まで迎えに来てくれる。 体全体で、また会えた喜びを表現してくれる。 しっぽはぴんぴんに、 あたまを足にすりつけて、 うれしい、うれしいと。 人間のお迎えは、子供が小さかった頃だけ。 寒くなってきて小さいねこが膝の上に座ってくる。 冷たい肉球がだんだん温まって、こちらもホカホカ。 丸い毛のかたまりがとても愛おしい。 猫は眠る。 温かい膝の上で、ともに眠る。 もう十一年も、こういう冬が来ている。 猫は眠る。 膝の上で腹が上下している。 いつかはこの子が死ぬ日が来るんだろう。 膝が寒くなる前に、この温もりを大切に、 心の中に刻みつけたい。 いつも慕ってくれてありがとう。
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