もうひとり 浪 宏友 |
轟音とともに地面がまくれあがった まくれた地面が大きく跳ねた 土煙が舞い上がり 空を覆った 空中に放り出され 落ちて行く人影が見える
剥がれた地面が丸まり始めた
逃げろ
夢中で走るぼくに
やがて
へたりこんでいる
よろよろと立ち上がった
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春のおくりもの 中原道代 |
外に出たいとねだる子に 手を引かれてやって来た ここは近くのお宮さま 誰もいない静かな境内 子供はぶらんこめがけて一目散 満開の桜の木の下 花びらが舞う 風に乗って舞う 広げた私の手のひらに 笑顔いっぱいの子供の上に ひっそりとあるベンチの上にも 子供は目を輝かせ 吹きだまりの花びらを 両手にすくってまきあげた 澄みきった青空めがけて 高く 高く
今は会えない君たちも
ぶらんこのきしむ音
少女は道端のひめおどりこそうを
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禍 伊藤一路 |
何が正しいのか何が正解なのか こんなに悩んだことがあっただろうか 答えを出すための引き出しも少なく 不確かで蓋然性の低い情報ばかりが飛び交い 誰が喜び誰が悲しむのか分からない やるのか? やらないのか? 自分の行動の中に喜びと悲しみが混在する そして出した答えが 他人ではなく自分自身が出した答えであるならば どんな結果でも受け入れる 誰のせいにもせず全てを理解して 結果をしっかりと見極めればいい 自分で出した答えなんだから
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人類が人類を滅ぼす 大場 惑 |
人類が人類を滅ぼす そう思えて仕方がない 自分の国は人殺し道具をたくさん持っている そう言って相手を脅かしながら威張り合っている 何かの拍子に お互いに人殺し道具を使い始めたら ほどなく世界中が灰燼に帰すだろう 辛うじて生き残った者たちも 残された負の遺産に侵されて やがて立ち上がれなくなるだろう
滅びるのは人類である
壊し合い 殺し合いを 繰り返している
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