重たい空 浪 宏友 |
君は いま どこで 涙ぐんでいるのだろう 遠い銀河の光が 百億光年の時を隔てて ようやく地球に届いたように 君の悲しみは 時を隔てて ぼくの心に小さなゆらぎを作っている
君を求めるぼくの心は
君を呼ぶぼくはどこまでもひろがり
次元の壁にさえぎられて
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踊るひと 浪 宏友 |
きれいなひとが 夢のなかで踊っている
風のように
近づいては 離れ
きれいなひとが
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藤棚の鳩 中原章予 |
毎日毎日花をながめ独り言 おとうさん 花が咲きましたよ 今年は二房だけど 来年はきって沢山咲くわね 毎日ながめて ふと 気付くと 茂みに鳥の巣 中にはなんと平和の使者山バト 毎日見ても 巣の中静か 卵でも抱えているのでしょうか ハトさんあなたいつ食事をするの 何日も何日も巣の中に そして何日たったのか クッククック 親ハトの鳴声によく見ると 二羽の子バト 親ハト 外でクッククック 子バト 巣の中でパタパタ いつの間にかとび立ち巣の中からっぽ それでも母バト近くでクッククック 子を呼ぶ声か もう とび立って居ないのに やっぱり今日も クッククック
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境内 中原道代 |
お宮の境内で子供達が遊んでいる 子供達は皆お祭りで買ったお面をかぶっている 男の子は平らな石の上でパッチンをしている 女の子はまりつきをしたりゴムとびをしている どの子も皆幸せそうで生き生きしている 少しはなれて腰の曲がったおばあさんが 子供達の様子をじっと見守っている その内 男の子のひとりに何やら言っている 孫のようだ 家から風呂の桶を持ってきてくれと頼んでいる 孫は文句を言いながらも走って帰る 急いで桶を持って引き返し おばあさんに手渡す おばあさんは「あんがと」と言って受けとり 桶を逆さに置き「どっこらしょ」と腰をおろした 子供達の元気な笑い声がいつまでも 境内に流れていた
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