その人 浪 宏友 |
その人は 人の波から現れて 明るい笑顔で 通り過ぎる それだけなのに 太陽のように輝いていて 私には まぶしかった
その人は その店で
その人は 振り返りもせずに
その人は |
衣替え 中原道代 |
縁側に暖かな日ざしが降りそそいでいた 「毛糸のパンツ脱いでいい?」と聞いてみる 母は縫物の手を止めて 「まだ ダメ!」と厳しい顔をする
季節がおちついた穏やかな日
今 晴れ渡る空を見上げて |
小さな路地にも春が 中原道代 |
今年も福寿草が咲いた 朝 カーテンを開けるたび 一輪 また 一輪と 小さな かわいい花畑 朝の日ざしでキラキラしている マンションのこんな小さな路地にも春が来た
福寿草がふわふわの葉になった頃
春さざんかの花たちは |
信念 伊藤一路 |
今もなお継続中の子育て信念
一、子育てに感情は要らぬ
大人の私利私欲や自分本位の感情に |
枯葉のごとく 大場 惑 |
人影はある 人はいない うごめく影の群れのなかに 我一人 立ち尽くす
声はする
人ごみに揉まれ |