夢のひと 浪 宏友 |
王子は目を覚ました むっくりと起き上がった このひとだ このひとを探さなければ それは 今しがた 夢に現れた女性であった
王子は 王宮を探した
王子は旅に出た
王子は 目を覚ました
王子は恢復した |
笑顔 中原道代 |
駅の地下でエレベーターを待っていた ドアが開くと 小さな園児たちがぞろぞろと降りてきた どの顔もみんな笑っている にぎやかなおしゃべりが止まらない お外で思いきり楽しんできたんだね ひとりの女の子と目があった うれしくてたまらないという顔で 何かしきりに話しかけてくる かわいい笑顔 いい笑顔 ほんの一瞬の心のふれあい 子供たちの声が遠のいていく エレベーターが動き出す ゆっくり上がって行く箱の中で 私はあの笑顔をじっとかみしめた
新幹線のホームには |
動く時 伊藤一路 |
人が動く時 それは楽しい事をする時 人が動く時 それはお腹が空いた時 人が動く時 それは恐怖を感じた時 人が動く時 それは自分を変えたい時 人が動く時 それは大切な人を思う時 人が動く時 それは未来の自分に必要を感じた時
自分を大切に思うから人は動く
子供たちが自分を大切にできるように |