詩誌「詩人散歩」(平成12年秋号)
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 花の季節               山口ハル子
夫逝きて十月過ぎたり寒き日に寄せ合う肩もなし年の暮れ

亡き夫を待ちつゝ逝きし義母の命日終戦の翌年と遠き日を思う

西都原に嫁にさそわれ腰を上げる菜の花櫻と花に酔いたり

窓辺より見ゆる櫻も葉櫻となりて今年の春も過ぎ行く

すしを持ち足痛き義姉をたづね見る時を忘れて話はつきず

 季節と心                徳永恭造
葉桜に五月の風が吹き荒れて落ちた花びら舞い上がりたり

早苗のび飛び交うつばめ忙しげ何を求めか田畑の上を

山頂に雪をとどめて緑咲き鳥のさえずり清(すが)しき朝よ

アヤメ咲く小川のほとり蝶が舞いやさしい陽ざし梅雨ちかし

空梅雨と思えばにわか雲湧きてポツリポツリと気まぐれにふり

病む人の心をいやす季節花花壇より切り束ね見舞いに

ひたすらに生き抜く事に精進を誓いし何時も題目唱え