詩誌「詩人散歩」(平成15年春号)
◆これまでの【短歌】を掲載しています。

  夫逝きて                  山口ハル子

子が逝きて泣けば俺も泣きたしといゝし夫も逝き今日は子の三十三回忌

足弱き我をいたわる子等夫婦墓家の掃除とありがたく思う

夫逝きて四年過ぎたり空席を見つゝ夫の背なつかしく思う

甘いとも辛いとも言う人もなき食事夫思いつゝ一人箸にぎる

戦争も終りて帰りし一人かとうなづく我の肩抱きしあなた