詩誌「詩人散歩」(平成16年春号)
◆これまでの【短歌】を掲載しています。

  やさしき嫁                 山口ハル子

ひたすらに貧しく戦後を生きてきて背に泣きし子等よ一人は逝きぬ

逝く日まで身につけていし袖無しを我ははおりて亡き夫偲ぶ

かぜ気味に水の冷たさ身にしみて子は夕方に案じてのぞく

一人居る秋の夜は長し寒くなり毛布かぶりてテレビ見ゆく

お母さんプレゼントですとさし出すは老いて歌おうよき嫁と思う