詩誌「詩人散歩」(平成16年夏号)
◆これまでの【短歌】を掲載しています。

  春近し                   山口ハル子

子の逝きし悲しみ書きし一冊のノート出できて夫の恋しき

今日は晴雲一つなき青空に春も近きに来しと思う

御飯食べに行こうと子等にさそわれて八十路の顔に一寸紅さす

杖をつく足ひく我なれど体調のよき日はうれしさつと用意する

窓辺より見ゆる桜も葉桜となりて今年の春も過ぎゆく

  院内随感                  山本尚男

点滴でつなぐや今日の我が命

病院の白い天井とニラメッコいつまで続くか今日も勝てない

看護師の献身的なふるまいに心で合掌胸ジンとくる

看護師の白衣眩い今朝の空快癒みやげに我は去り行く