詩誌「詩人散歩」(平成17年冬号)
◆これまでの【短歌】を掲載しています。

  一人暮らし                 山口ハル子

朝六時の花火におどろくおきいでて一人暮しは運動会も忘る

バタバタとにぎやかな声足音にあゝ二学期だと気をつけてと私

秋彼岸近くなり頬をなず風にさわやかになり暑き日に思う

朝夕は寒くなりしと毛布かける春夏秋冬季節におゝじて

かぜ引きてふせれば過ぎし日々のこと夫子の恋しく涙とまらず

  旅路                    藤井正子

白い雲ながれながれてどこへ行く乗って行きたいみ佛のもと

台風におしながされて田や畠みのりの秋もゆめのまたゆめ

人生の長き旅路をありがたう老いたる足に感謝の湿布

騒音にめざめてみれば点滴の残りすくなき時間となりぬ

過去未来八十路をすぎたこの身には過去はありてものぞめぬ未来