詩誌「詩人散歩」(平成19年春号)
◆これまでの【短歌】を掲載しています。

  遠き日                   山口ハル子

亡き義姉が編みてくれたる袖無しを我は羽織りて寒さを凌ぐ

貧しさも子を失いしかなしみも八十路を越えて遠き日思う

おだやかに正月三日も過ぎゆきて嫁は明日より仕事と言いたり

餅供へふと思いたり貧しくて供えるもののなき遠き日を

今日の空雲一つなき青空に日向は温かに過ぎて行くかな