夕日 藤井正子 |
そよそよとふく春風にさそわれて小川のほとりつみくさをつむ
車椅子片手でおして病める友髪のみだれにあわれをさそい
日暮れ時ねぐらへ急ぐ鳩のむれ赤い夕日につばさひろげて
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日々 山口ハル子 |
子に別れ悲しき心いかにすべき歌にたくして三十六年過ぎぬ
住む人も無き妹の家十五年過ぎぬ嫁ぎし娘こわして淋し
妹を乗せて走りし師走の夜救急車は今日も走り行く
子の逝きて日々泣くばかり過ぎゆきぬ年間歌集も三十五冊なり
嫁植えしつつじ芝桜美しい朝夕ながめて心和みし
窓辺より見ゆる桜も葉桜となりて今年の春も過ぎゆく
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