詩誌「詩人散歩」(平成19年秋号)
◆これまでの【短歌】を掲載しています。

  春の日                   藤井正子

病める日を共にすごした我が友の退院の日は明日にせまりぬ

さくら咲く春をたのしみ冬ごもり今年も雨でサヨウナラ

春の日のさしこむ窓辺あたたかくせなかまるめて子猫はねむる

  千の風                   山口ハル子

千の風今日も吹きてか亡き吾子の母を恋うのか涙とまらず

雲白く川の流れに浮かばせて歌いし子亡く雲の流れる

二人してうなぎ取れしとはしゃぐ声昨日の如く思い出される

子のそばに父も来たよと逝きし夫共に語らい一日の暮るるか

子の墓標共同墓地の片すみに車の音を今日も聞きおり