短歌 櫛田令子(光蛍) |
思ひのままに物書き居れば安らぎて親しき君に逢ふこともなき
今日も晴れて老夫待ちし下心の何時しか消えて書を読み又は文したためぬ
晴れし日は拙歌詠ひてくつろぎぬ心も晴れて生命有れば
晴れし日に久方ぶりに老夫の来りてありぬ我が心今日の日のごと晴れぬ
吾に老夫ありこの幸せや共に生きたし
命終の時は知らず生きて生命の限りも詠はむとする
学びの道は果なしと思ふ下心の父母の導師の道行かむとする
御仏のめし給ふ命なれば良しと思ふ日も有りて命の未練か我は生きぬ
たそがれの身と思ひし八十の坂の物申し度き事のありせば
十年の昔を特養に有り未だに老骨の身も一歌詠はむとする
今日の生命唯嬉びて朝の雲の眺めて過ごす朝まだきかな
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