詩誌「詩人散歩」(平成13年秋号)
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  五十周年式典当日に想う          辻村哲久
之をしもみ仏の恵み快晴の空輝やけり慶賀の朝は

ご本仏を支へまいらすごとく見ゆ左右に麗し蓮華のアーチ

そのかみの初陣式はかくあらむ襟元清し袴姿よ

はなやかに振袖の列が聖壇に“百花繚乱”をふとつぶやきぬ

「心一つに不惜身命発展の礎築く」の啓白文拝聴

さりげなく「もちつもたれつ」を説き給う参務ご法話身に泌みて聞く

「実行は徳分となる」と肯いぬ明日の首途(かどで)にこころ高ぶる

会旗はためく下に植樹がなされたり紅葉の秋を楽しみ待たむ

  四季の思い(夏に)            佐藤恭子
大空に一輪の花咲きにけり夢のようだな花火が上がり

夕立にアスファルトぬれほこりの香夕食を待つ夏のとある日

夕立にいなびかりしておどろいて声をあげてはぼくにだきつく

七月の雲天の下鳩が鳴くまだ肌寒いその朝のこと

初夏が過ぎ風が止まった夕なぎに風鈴つけてかやかけて

祖母の吸うたばこのあかりみつめつつねむりについた我はおさなく