詩誌「詩人散歩」(平成25年春号)

yuyake
◆これまでの【短歌】を掲載しています。

  元旦詠(特養に詠める)         櫛田令子(光蛍)

結婚と云う目出度き事にも愁い持つ継母と云う名を負う吾は

吾子ばらは母とは云はず育ちゆき今日目出度くも婚の儀行なへり

東(ひんがし)の空西に染めて何か良い事ありそうな

正月を風邪にて伏床にすごす時何故の業かと己にといぬ

年事の賀状は一と言「元気でね」友も吾も共に老いたれば

新玉の富士山頂に雪かぶり心清しく伏床の窓に

ノックして吾を起こしくれにし介護士に覚らおぼえに老夫思へり