詩誌「詩人散歩」(平成13年冬号)
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  四季の思い(秋に)           佐藤恭子
地獄なら針のむしろだこの痛みはきなれてない健康サンダル

ひとときのわれ青春のはやりうたなつかしいうたふえていくよう

思い出を捨てに行きたい海の果てまってるだけのこんな場所から

これもまた形あるもののさだめかな散らぬ花にもことわざひとつ

くしゃみして夏のなごりのクーラーが身体にこたえ一枚はおる

影のびて果物屋にはなし並び風もすずしく秋色の街

古里を<恋しくおもい電話鳴り父の声して一念三千

無精した男の人のひげふしぎ朝ゴマシオで夜コソドロだ

  秋近し                  山口ハル子
夏の日を短く生きる蝉の声今日も朝からワシワシと鳴く

盆過ぎて吹く風に秋を感じたり虫の鳴く音も秋も近しか

よりかゝる夫もなき秋の朝々に味噌汁と梅の一人の食事

彼岸花咲きし墓辺に夫の子の名前呼びつゝ草をぬきゆく

少子化に近所に子供の姿なし花火の音に運動会と思う