短歌 櫛田令子(光蛍) |
◇ 窓越しに見る桜花外面に居たき心地の夢にぞありて 桜花花びら舞いし神田川春うららかに夢心地して眠気もようす 神田川の面を飾るがごとき桜花流れもせず鯉と遊ぶも 特養に寒さも知らず住みし身も老いを感じるこの頃にして ◇ たちまちに若葉の候となりにけり病ここにいる日の長ければ 古へを思う心の深き故この心変わらず友を偲びぬ 幼き頃の思い出の唯懐かしく我も老いたるかな 古きあさひこ用箋取り出して見る唯懐かしく歌友のたれかれ ◇ 特養の生活(タツキ)になれてリハビリと思い煩うは少なくなりぬ 満開の桜を見つつ食事するこの幸せや何にたとえむ ペン持つは常の慣らわし字の書けぬ今のいらだち如何に静めむ 何時までも咲けよと思う桜花なり散りぎは良しといみじくも云ふ
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