詩誌「詩人散歩」(平成18年冬号)
◆これまでの【エッセイ】を掲載しています。

  秋の日                             山口ハル子


 暑い夏も過ぎさわやかに秋風が吹いて、一人の暮しも淋しさを感じる。夜になると虫の声に秋を感ずる。
 日向は住みよい所と祖父が一にぎりの日向の土を四国まで持ち帰り一家八人四国から移住して新富町に住み今は孫達の代である。広い畑に甘藷タバコと年中忙しいようである。
 私達は小学校のころは夏休みには行き、冷蔵庫もないので畑で西瓜をわり食べ、風呂を祖父祖母はわかしながらとうきびをやいて食べさせ可愛がってもらった。じいちゃんばあちゃんの所に行くのは楽しみであった。秋風と共に遠い日がなつかしく思い出される。
 朝六時には花火があがり何事と目をさまし子供も居ないと運動会の事も忘れて過ごしている。
 月日の経つのは早く年を取るのも早くなった。八十路を越えだがおみそしるも作り美味しく食べて居る。秋の風に連れて遠い日を思い出してペンを取って居る。