詩誌「詩人散歩」(平成13年春号)
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  ネックレス                山口ハル子

 私が十年前頸椎脊椎症と言う病名で入院し、三年の間に帰ったり入院したり一年間病院の天井を見て過ごした。時々父さんがきてくれると背広の端をにぎりシクシクと泣いた。泣くな泣いたとてなおらぬ。元気出せ又来るからねと帰っていった。
 退院した時一寸出かけよう用意しろの言葉あり、元気になったお前に何か買ってやろうとのことネックレスをと。私はお婆さんにいらないと言ったが,買ってくれたのである。 形見となったネックレスを時々だしては父さんを思い出している。ありがとう今はもう見ることも声聞くこともない貴方浄土の道をゆっくりと歩いていますか。私の場所もとなりにとっておいて下さいね。
 今年も又寒さの中に沈丁花が蕾をつけています。杖をつきながらの日々ですが元気出して日々を送りたいと思っています。

  教 育                 大場 惑

 親が育て,教師が教え、世間が守ってきたはずの青年たちが、今どうなっているか。
 その青年たちが結婚して次の世代の子供たちを教育するのであろうか。するとその子供たちはどのように育つのだろうか。
 本当に育たなければならないのは一体だれなのだろう。そして、その人たちには、育とうという気持ちがあるのだろうか。